病院を裏方から支える事務・管理部門を、現場の医師はどのように見ているのでしょうか。今回編集部では、医師785人に「自院の事務・管理部門への満足度アンケート」を実施。およそ半数が高い満足度を示した一方、辛辣なコメントも寄せられました。
待遇の満足感も、事務・管理部門への評価につながる

図1
調査は、2015年4月4日―5日の期間に、m3.com医師会員を対象に実施。回答した勤務医は785人でした。
調査結果では、「満足している」の14.3%と「どちらかと言えば満足している」の31.0%を合わせて45.3%の勤務医が、自院の事務・管理部門に満足感を示していました=図1=。
満足している具体的な理由として最も多かったのは、「スキルが高いから」(13.0%※)。自由コメント(文末参照)では、日常的な対応の早さや丁寧さを、現場の医師も見ていることが分かりました。
 ※満足している勤務医に対する割合。以下同じ。
そのほか自院の事務・管理部門を評価する声として多かったのは、「待遇が良いから」(12.4%)、「職務内容・環境に満足しているから」(7.0%)など。待遇や職務内容・環境など、病院自体への満足感が、事務・管理部門への満足度にダイレクトに反映される傾向がうかがえました。
不満の理由、4割が「スキル不足」
一方、不満を抱く人は、「どちらかと言えば不満である」の16.6%と「不満である」の11.7%を合わせて28.3%にとどまりました。
不満を抱く理由として最も多かったのは、「スキルが低いから」で、不満を抱く人の40.5%を占めました。
 「レセプト業務に精通していない」「専門性、総合性、双方を高めて欲しい」など、満足している勤務医と正反対の意見が多く、医療機関によって事務・管理部門の能力に大きくばらつきがあることをうかがえます。このほか、「財団法人なのに理事長身内の職員が多すぎて、威張っている」「管理者は誰が働いて、誰がサボっているのかを見ていない」など役職者・管理職のコンプライアンスやマネジメントを問題視する声もあがりました。
満足している理由(抜粋)
1位 スキル(46人、13.0%)
- 皆一所懸命働いている。
 - 対応が早い。
 - 細かいことにこだわらず、おおらかに対応してくださっている。
 - 私が働き易いよう日頃から気にかけ配慮していてくれていると感じる。
 - 細かい点をよくカバーしてくれている。
 - 一流企業の退職者で構成されそつがない。難を言えば皆高齢者であること。
 - 3月31日をもって前病院退職。まさに、事務長、管理部門の理解のなさが原因でした。現在の職場では満足しています。
 - かなり、病院全体の在り方を踏まえて頑張ってくれている。医師側からの、希望についてもそれなりに、反応してくれている。
 - 点数管理をしっかりしてくれているから。
 - 医療保険が改定された時の対応が早い。
 
2位 待遇(44人、12.4%)
- 給与がよく、ゆったり勤務。
 - 収入は低めだが、夜や休日の拘束がない。
 - 勤務時間がはっきりしており、プライベートな時間も十分確保できる。
 - 有給が取りやすいから。
 
3位 職務内容・環境(25人、7.0%)
- 仕事が楽しいので。
 - 診療にストレスを感じないため。
 - 仕事しやすい。
 - やりたいことができる。
 
その他
- 自分と(事務管理部門の)考えが共通している。
 - 仕組み・組織がしっかりしている。
 - 事務の対応は普通ですが、医師の業務軽減のためにメディカルクラークを付けて診療補助を積極的にやってもらっている。とても助かる。
 - 仕事量もまずまず,スタッフのとの人間関係もまずまず,給与もまずまず。あまり高望みはしておりません。
 - きちんとした医者がいるから。
 - 病院の経営が安定している。
 - おおむね、上伸した意見は考慮されるので。
 - 新しい治療・検査が可能。
 - きっちりとしているが、医学的主張が通らないことも多い。
 - (正当に)評価してくれる。
 - 必要な権限が与えられている。
 - 自由に診療が出来るから。
 - 必要時のコミュニケーションがストレスなくとれているため。
 - いろいろな問題はあると思うが、他院と比べれば良い部分が多いと思っている。
 
満足していない理由(抜粋)
1位 スキル(90人、40.5%)
- 各種書類申請に関して時間がかかりすぎ、遅々として進まない。
 - 行政への届け出にしょっちゅう不備がある。
 - 依頼してから、返事が返ってくるのは、さらに催促しても1か月以上。
 - レセプト業務に精通していない。
 - 源泉徴収票や住民税特別徴収税額決定通知書をこちらが催促するまで配布しない。
 - 現場が理解できていないし理解しようとする姿勢も無い。
 - 事務長が横柄であり、みんな辞めてもらいたいと思っている。
 - 経営に主体を考えているわけでも無く、医師などの働きやすさを考えてくれるわけでも無く。しかも、5時ピンで帰宅し 仕事が遅い。
 - 患者からの投書につねに土下座する姿勢。
 - 不公平感を感じる。管理能力がない。
 - 管理者は誰が働いて、誰がサボっているのかを見ていない。
 - 明らかに能力不足。将来のヴィジョンが全く描けていない。行き当たりばったりの病院経営。退職者が後を絶たない。急性期病床、ひいてはこの医療機関は淘汰されるだろう。
 - 明らかなビジョンがあっての組織運営ではなく、理事長のワンマンでの運営がおこなわれ、場当たり的な対応となっており、管理部門はそれに追随する形になっている。
 - 事務の能力が低い 事務的作業を医師におしつける。財団法人なのに理事長身内の職員が多すぎて、威張っている。
 - コスト管理が出来てない。
 - コスト取り漏れなど足引っ張ること多い。医師の補助にならないのに、稼げ稼げ…。事務職を減らすべき。
 - 売り上げ第一で、医療を本当に理解していない。
 - 医療業界外から来た連中がピント外れのことをしている。
 - 診療や看護への口出し、民間企業では失敗した目標管理制度の導入など。
 
2位 待遇(39人、17.5%)
- 給料が安いため。
 - いつまでたっても多忙。
 - 当直が多過ぎる。
 
3位 人事・採用(14人、6.3%)
- 正当な労働評価がされていない。
 - 評価基準が不明瞭。
 - 評価基準がない。
 - 上司の評価が公平でない。
 - 医師不足に何らの手を打ってくれない。
 
その他
- 長期的な経営戦略が不明。
 - メンテナンスにお金をかけない方針が徹底されているから。
 - コストカッターがいて、何でも切り詰めようとするが、自分たちにはあまい。
 - いろいろ御苦労があるであろうし、仕方ないとも思うが、独立行政法人移行に伴う混乱が見受けられる。
 - (勤務医自身の)専門性が生かせないから。
 - やりたいことができない。
 - 意見を吸い上げる仕組みがない。
 - 医師でない理事に色々と勝手に決定されてしまうため。
 - 自分の意思で改革できる範囲の狭いことに失望している。
 - 働き損になるようなことが多い。インセンティブはいいのですが、働いていない口だけの医師の対策をきっちりしてほしい。
 - 医師の業務内容が不公平。
 - 現場との温度差がある。仕事に熱意がない。
 - 以前の病院は電子カルテ、オーダリングシステムでしっかりしてたが、現在の病院は、紙カルテでいいかげん。
 - タイムカードがない。
 - 入職して1年経つと契約違反をしようとする。
 - 契約書を発行しない。契約書の内容を勝手に変更する。有給休暇取得を促さない、残日数も把握していない、取得するとあからさまに嫌な顔をする。
 








